前世の仲間 ~前世 3~
高校を卒業した春のこと。
その頃、「ムー」のような雑誌を無性に見たくなった。
しかも、その”投稿欄”のみ。
その頃のオカルト関係の雑誌には、「前世の仲間募集」の投稿をしている人がよくいた。
日渡早紀さんの漫画「ぼくの地球を守って」に影響されてのことだと思う。
漫画の主人公達は、自分達が見ていた夢が同じ内容だと知り、前世だと思う。
そして他の「前世の仲間」を集める為に、オカルト雑誌に投稿する。
その漫画は、私が夢を見始めた少し後から、雑誌「花とゆめ」に連載されていた。
とってもファンだったのだけど、自分が見ていた夢が「前世」だと少しも思わなかった。
夜毎、「別の世界」に行っていると思っていたのだから。
だから、その春までその手の雑誌に触れたこともなかった。
手当たり次第に手に取って、一ヶ月目。
それを見つけた。
「前世の仲間を探しています。
(夢の内容が書いてあって)別の星にいました。
竜厘、卑弥果、瑠蘭、希境を探しています。
私たちは、沙霧、桜花林、孔樹です」
夢の内容はまったく思い当たらなかったけど、「別の星」と「竜」という文字に引かれた。
自分の「洞窟の夢」の内容を手紙に書いた。
そして、そのような夢を見たという「リュウ」という人から連絡があったら、
教えてくださいと。
.
まもなく、返事が来る。
「私は、”その洞窟の夢”のような世界を見たかもしれない」とあった。
何度か手紙のやり取りをしていく内に、自分の夢とその人たちの夢と同じものが
あることに気がついた。
(その雑誌の前世についての内容は、適当に書いたものだと後から聞いた。
何か書かないといけないと思ったからだそう。「本当」は名前だけだと)
*
その「別の星の夢」。
どうやら、私は仲間の一人らしいということになった。
私は、<卑弥果>
その名を、「彼女達が見た夢」から聞いた。
*
その人達は、夢から多くの情報を受け取っていた。
漢字の名前の他に、みな「コードネーム」があった。
「リュウ、サラ」はその中にあった。
私のコードネームは<ミサ>という。
(彼女達が手紙に書いてくれた名前の<漢字>は、微妙に違っていた。
日本の旧字体でもなく、中国のそれでもなく。
でも、この漢字を表すのだろうというのは分かった)
その星には唯一の宗教(?)があった。
その神は「実在」していた。
私達のような能力を「妖力(ようりき)」といい、妖力を持ったものの中には、
宗教の紋章である「リヴィ」が、体のどこかにつくことがあった。
妖力は珍しいものではなく、その力で「仕事」をしている人もいたらしい。
私達のような依頼をされて仕事をこなす「集団」も、他にいたよう。
その人達の特に能力の強い人達は、漢字の名前が与えられていた。
その名前は、すべて「日本語読み」
普段の言葉は、日本語でも英語でも、地球上のどの言葉でもなかったようだけど。
私が夢を見なくなってから、この頃に一度だけ見た「別の星の夢」の中で、
その理由を聞くことになる。
*
その「別の星」で、私とリュウがいた。
”私”は自分自身のことを”卑弥果”、隣りにいる人を”竜厘”だと
認識していた。
「希境」という人に初めて会う場面だった。
「これで、前世の7人がそろったのね」と言っていた。
彼女達は、何度も一緒に転生しているらしい。
そして、その度に出会う。
その時の”前世の私”は、夢を見ている私に言った。
<<この星は地球を知っている。日本という国を知っている。
そして、能力を持った人達の多くが、次に日本という国に転生することを知っている>>
(古代奈良の夢 4 に続く)
*
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