鏡別皇子
< 皇子ヶ入 >
おうじがいり。
寮はそんな”字”の場所でした。
入って間もなく、町の広報で由来を知りました。
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ヤマトタケル命がこの地を訪れた時、
亡くなったという皇子の鏡別(かがみわけの)皇子。
その方が皇子ヶ入の山の山頂に祀られているという。
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・・・その寮の裏山に。
*
寮に入って1年程経った初夏のことでした。
その日はよく晴れていましたが、暑くもなかったので散歩に出かけることにしました。
田んぼの中の道を、2~3時間ほど。
適当にふらふらしていたので、どこをどう歩いたのか覚えてません。
いつの間にか、山道を登っていました。
舗装されていない、獣道のような一本道。
30分から1時間程、その道を進みました。
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今、思えば、そんな山道を一人で歩くなんて、自分にはあり得ないこと。
でもその時は、ただ木漏れ日が心地よくて、
少しの迷いもなく、ひたすら登っていました。
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突然、青空が広がりました。
木立の間を抜けたのです。
そこは膝ほどの草が生い茂り、小さな広間のようになっていました。
そして、目の前に3メートルほどの大きな石碑。
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< 日本武尊命の皇子 鏡別皇子の碑 >
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そこには、そう刻まれてありました。(文字はうろ覚え)
鏡別皇子?
じゃぁ、ここは寮の裏山???
いつのまにか、その山頂にいたようです。
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我に返ると、ぶんぶんとすさまじい音が。
熊蜂とスズメバチの群れ。
自分が来た道を振り替えると、そこにも。
あんな中を来たのか。
ぞっとしました。
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”呼ばれたんだ”
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その時はさすがにそう思いました。
そうでなければ、あんな中を無事に来られるはずがない・・・。
とりあえず、その石碑に向かって手を合わせました。
心を無にして。
そうすれば自分の中の自分に届く。
さぁ、また来た道を戻らねば。
あの蜂の群れの中を。
来られたのだから、帰ることもできるはず。
ただひたすら冷静を装って、歩きました。
お化けや幽霊よりも怖かった。
*
今、気付きました・・・。
・・・呼ばれた?
いつから、呼んでた・・・?
あの寮に入ることができなければ・・・。
まさに”あの日”、あの場所を出ることができなければ、
確実に自分の身が危なかった。
人生最大の危機が迫ってた、あの日。
きっと、自分ではどうすることもできなかった。
そこへ届いた、自分を救ってくれた一枚の紙。
ほんとに奇跡のような偶然。
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もしかして、ここへ来いと呼んでくれたのは、あなた?
ただの思い過ごしかもしれない。
ほんとにそうかもしれない・・・。
でも、そうだと思うことにする。
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ありがとう。
救ってくれて。
この命、大切にする。
そう思えるから。
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私が出てまもなくして、寮は余所の会社に渡ったそうです。
今は、ネットで確認したら、取り壊されたようで跡形もありません。
あの時期、あの場所に行けて、本当に幸運でした。
…もしかして、"そこへ行きたかった"のは、私の方?
(追記)
後に調べました。
鏡別皇子の父だという、ヤマトタケル命は、
神功皇后の夫、仲哀天皇の父でもありました。
つまり、鏡別皇子は、仲哀天皇の異母兄弟。
ですが、ヤマトタケル命には、「鏡別皇子」という名の皇子は存在せず。
「足鏡別皇子」といわれる皇子がおられます。
(旧名)愛知県幸田町字皇子ヶ入の山頂に祀られているという皇子は、
この足鏡別皇子なのか分からないです。
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ヤマトタケル命は、神功皇后の義父・・・。
神功皇后の縁が私を助けてくれたのだと、思わずにはいられません。
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http://karapaia.livedoor.biz/archives/52223962.html
↑記事とは関係ないんだけどこんなの見つけたの!見てみて!
投稿: | 2016年9月 8日 (木) 15時10分
名前ないけど、おきらくさんよね?
カラパイヤ初めて見たけど、面白そう~
その火の中の”巨大な影”
私も”守る方の者”とだと思った。
自然と涙が出たもの。
慈悲・・・慈愛の心・・・なのかな、感じ取れるのは。
でも、夢のあれは違ったと思う。
禍々しいものを感じたから。
投稿: 弥沙 | 2016年9月 8日 (木) 17時27分
あれ?さっきはこの文章(ブログの)なかったような・・・?(o◕_◕o)?
すべての偶然は必然で 奇跡のような出会いも最初から決まってた運命みたいな事ってあるよね?
私は兎角「有名人」と呼ばれる人に 人生のあちらこちらで出逢っちゃう運命らしいw
その頃には まだ名前も売れていないような人だったりねw
黒い巨人・・・
私も夢でみたのは もっと邪気を感じた
この巨人(?)さんは神々しいよね^^
頭部とかの形も 神や仏を感じる
投稿: ★おきらく龍★ | 2016年9月 8日 (木) 20時51分
そういや、そうだったね~^^
こっちでも会ってたって言ってたよね。
偶然が必然なのかは、後から分かるものなのかもね。
その人にとって、その出会いが大事なものになるのなら、
みな必然かもね^^
そう考えれば、物事全てが必然なんだね。
きっと
投稿: 弥沙 | 2016年9月 8日 (木) 21時08分